お前の隣は俺だけのもの。

その女の子って。

もしかして。



「陽菜のことだよ」



碧が隣で呟く。



「碧って昔から、陽菜ちゃんに一途だよね」

「本当だな」



彼らの言葉に顔を赤くする私。

碧が暴走族に入ったのは私のためだったんだ……。



「だけど、碧ってバカだよね」



怜央が笑う。



「守りたいだけなら、あえて“龍虎”じゃなくてもよかったじゃん」



剣道を習うとか。

柔道を習うとか。

怜央はそう言っているけれど、碧は首を横に振った。



「“龍虎”じゃないと、陽菜を守れないんだ」



碧の言葉に、静かになる教室。

目をぱちくりさせる私たち。



「それって、どういう……」

「怜央。さっきの動画、陽菜に送ってあげて」



私の言葉をさえぎる碧。

さえぎるってことは、言いたくない理由なのかな。


……今は触れないでおこう。

碧が話したいと思ったときに話を聞こう。