ガラガラ




「失礼しまーす。」



日直日誌を出そうと英語科準備室に入ると先生がスヤスヤ気持ち良さそうに寝ていた




綺麗な寝顔に思わず見惚れてしまう




撮っちゃお




パシャ




その瞬間腕を掴まれた



「ん…撮ったーなー。」



わっやばバレた!



「あ!ちょ、待て!」



先生の手をするりとすり抜ける



もはや準備室の中を追いかけっこ状態



「消してよー」



「やだよーだ!あ!



私が走った先は行き止まりだった



やばい捕まる…!



「もう逃げらんないよ。」



先生の手が私の携帯の方に伸びる



その瞬間先生に背を向けるように携帯を隠した



…!!!



「え。」



ドキンドキン



ドキンドキン



バックハグ…されてる!?



最初は私の手の携帯に伸びていた先生の手が私の腕を伝って明らかに肩を抱きしめられてる



「……っ…」



わざとなの?それとも偶然?



え、どうしよどうしよ



心臓の鼓動が先生にバレてしまいそう



肩に先生の頭の重みを感じる



ずっとこのままでいれたらな



「ごめん…。」



手が離れた



先生の顔に前髪がかかってて表情はよく見えない



謝んないでよ



何に謝ってるの?



「し、心臓が破裂しそうなんですけど!こ、こういうのわざとじゃないなら気をつけた方がいいですよ。」



「そうだよね。ごめん。忘れて今のことは。」



私が思ってた答えとは違った



わざとじゃないんだ…



私はこういうことされると本気にしちゃうんですけど



先生って案外そういう人なのかな



振り回されてる、私きっと



「あ、あの!先生、いい成績とったからご褒美ほしいんですけど。」



気まずくならないように話題を変えた



「ご褒美?」



「はい。私のお願いひとつ聞いてほしいです。」



「俺に叶えられる範囲でならいいよ。」



「私のこと藍って名前で呼んでほしいなぁー。」



まあ先生は真面目だからいくら押しても無理なのは分かってるからふざけた調子で言ってみたけど



1%くらい可能性はないでしょうか?神様!



「でも全員のことを苗字にさん付けで呼ぶことにしてるからなぁ。」



うーん…



「えーダメ?」


これでダメだったら諦めよう



すると先生が手で私の目を隠した



「そんな目で見られたら断れないじゃん。」



伝わる先生の体温



ドキンドキン



「その代わり他の人がいない時だけね。」



ガラガラ



そう言うと先生の手が離れて準備室を出て行った



かああっと顔が火照る



先生強いよ…



思わずほっぺをつねったけど…現実だ



やったあ!!





また"2人だけ"ができた