それは、魔法みたいに



デスクに戻ると、一部始終を見ていた御上千香が目を輝かせている。


「やっぱり加藤さんはかっこいいね!」

「やられっぱなしなのが嫌なだけ」

第一かっこいいとか言われても嬉しくはないし、本当は指導係なんて今だって面倒だなと思う。

でも、彼が仕事を吸収して営業として活躍する姿を早く見たいという気持ちが芽生えてしまった。


たぶんそれは、そう遠くない未来で叶うだろう。


「あと、ありがとう。……私にメイクを教えてくれて」

「うん。今日の加藤さんも綺麗。似合ってるね」

……そういうことをさらりと言えるところが、さすがというか、彼らしいのかもしれない。でも言われ慣れていない私は正直反応に困る。


「また内緒で、させてね」

「……仕事次第」

「加藤さんに認めてもらえるように頑張るよ!!」

「声が大きい」

それと彼はメイクが得意だということを、部署のみんなは知らない。これは私と彼の秘密らしい。




それともう一つ。これは私の中だけの内緒の話。


あの日、御上千香にときめいたのは秘密にしていよう。







END