俺の心配はいらなかった。

一君と背を預けながら、杉崎さんは戦っていた。

試合をしたときはまだ背中を預けてはもらえなそうですね、といった杉崎さんに対して一言多いとげんこつをしていたはずなのに。

いつも俺の知らないところで…

そんな思いでいっぱいになってしまったが、俺はその思いを断ち切るために目の前の御陵衛士をどんどん追い詰めていった。

俺はこの日、完全に杉崎さんへの思いを心の片隅に追いやった。

二度と思い出さないために。

二度と苦しい思いをしないために。
「気づかないふり~沖田目線~」〈完〉