壬生狼の恋ー時を超えたふたりー

防壁を構築したことと陣を半分に分けて絶え間なく攻撃をしたことは功を奏した。

翌日には新政府軍の兵士らはかなり疲労困憊しており、俺たちの勝利が間近まで見えていた。

それを見逃さなかった俺は一気に総攻撃を仕掛けることを命じ、そのまま新政府軍を敗走させることに成功した。

「俺たちの勝ちだ。

おめぇら、よくやった!
今日はとりあえず皆をねぎらいたいと思う。

皆で酒を飲みかわそう!」

俺の言葉に仲間たちはいっせいに喜んだ。

まさか、戦いのさなかに酒を飲めるなど夢にも思っていなかったからであろう。

そんな浮足立っている仲間には申し訳ないが、俺は言葉を付け加えた。

「ただし、ひとり一杯までな。
酔っぱらってしまっては元も子もねぇからな。

全部終わったときにおめぇらには浴びるほど酒を飲ませてやる!」

俺の言葉に仲間たちはなぜか大笑いした。

「まじめな指揮官らしいですね。」

仲間が次々にそんなことを口にしたのだ。

俺は「あたりめぇだ」と答えながら次々酒を仲間に配っていった。

「俺たちの勝利に乾杯!
また明日以降もともに戦おう!」

「乾杯!」

俺は最初に言ったとおり、皆に一杯だけ酒を飲むことしか許さなかった。

もっと飲みたいというものは何人かいたものの俺がにらみを利かせたら皆黙ってしまった。

休息を兼ねたこの時間をとったことは俺たちの陣にかなりいい結果をもたらし、明日以降も全力で戦おうと言いあうことができた。