どうすれば俺は彼らの心を開けるのだろうか、そう考えたときに脳内をよぎったのは会津に残った斎藤たちのことであった。

斎藤たちが会津に残ったのは決して無駄死にをするわけではない。

彼らは会津藩への義を持ち、最後まで戦うことを決意したのだ。

きっと彼らは自分たちの未来がどうなるかということはわかっていたはずだ。

それでも俺が斎藤たちを止めなかったのは斎藤たちには斎藤たちの考えがあったからだとわかっていたからだった。

だから俺は別れ際に無駄死にだけはするんじゃねぇという言葉を残してきたのだった。

仲間が死ぬことは何度経験しても楽になるものではない。

それがたとえ彼らなりの考えがあったとしてもだ。

俺の心はかなり傷心していたが、彼らの意見を尊重した。

その時の俺の気持ちがどんなものだったのか目の前にいる奴らに話したところで伝わるわけではない。

でも、俺はそれを話さなくてはならなかった。

これ以上の犠牲者を出さないために。

案外俺の話は伝わったらしく、先ほどまで戦うことに固執をしていたものも生きるということに希望を見出したらしく、もう戦うべきだとは言わなかった。

「俺は、お前らが憎くてこんな命令を出すのではない。

お前らに生きてほしいからこの命令を出したのだ。

それだけは心に刻んでほしい。」

それだけ言い終わると俺はひとり船室から出ていった。