私は覚悟を決め、斎藤先生の元へ行った。

「俺、今日何をしろって言った?」

「ざ、座学を…」

静かに怒る斎藤先生はとても怖く、私は小さな声で答えた。

「じゃあ、今してたことは何?」

「な、永倉先生と…」

「お前は何番隊の所属だ?」

「斎藤先生の…三番隊です…」

「永倉は何番隊だ?」

「二番隊です…」

「じゃあ、なぜおまえが混ざってやってた?」

「そ、それは…」

私の声はどんどん小さくなっていき、それに比例して斎藤先生の声はどんどん怒りが込められていった。

「おい、斎藤!
おれがこいつにやろうって言ったんだ。

杉崎は戻るって言ったのに、俺が引き留めたんだ。」

永倉先生は私たちの側まで歩いてきて、私のことを守るような発言をしてくれた。

「ふーん。
じゃあ、二番隊の所属になれば?

俺よりも永倉のほうがいいんだろ?
俺の言いつけは守れないのに、永倉には従うってことは。」

永倉先生の言葉は余分だった、そう思った時にはすでに遅く、斎藤先生は道場を後にしようとしていた。

私は永倉先生に一礼すると、斎藤先生のことを追いかけた。

「斎藤先生、待ってください。」

大声で斎藤先生を止め、私はそのすきに斎藤先生の前まで走っていった。

「すみませんでした!
もう勝手なことはしません!」

斎藤先生に謝ると、許してくれたらしく「次はねぇ」と言ってくれた。

「これ、没収ね。
勝手に他のを持っていくことも禁止。」

斎藤先生は私の左腰に刺さっていた模擬刀と小太刀を抜き取り、そう言った。

「俺が稽古をつけるときと見廻りの時だけ、返してやる。

総司や永倉とはもうやらなくていい。」

私は返してくださいというのをこらえ、静かに頷いた。