ここまで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。

この話はタイムトリップしたひとりの女性と幕末を駆け抜けた新選組隊士斎藤一の物語です。

この作品に描かれているヒロイン、杉崎愛望は本当に意志の強い人間なんだと書いていてずっと思っていました。

何度か心を痛めながらもその都度励ましてくれる大切な仲間がいたからこそ、愛望は激動の時代を生き抜けたのだと思います。

全てを知りながらも妥協することを許さなかった斎藤一、薄々愛望の正体に気づきながらも何も言わずに接してくれた沖田総司、口調は荒いけれど、愛望が女性と知ってからはことあるごとに死ぬなよと言い続けてくれた土方歳三、ちょっと影が薄かったけれどすべてを知りながら実はしっかりと新選組をまとめていた近藤勇、その他多くの隊士たち。

きっとこの中の一人がかけていたら愛望は新選組の中で自分の存在価値を見いだせていなかったかもしれません。

愛望と関わったすべての人が新選組の中での杉崎快という一人の人物を作り上げてくれたのではないでしょうか。

だからこそ愛望は一度も元の世界へ帰ることを願わなかった、そうではないでしょうか。

皆さんはもしも自分が今いる世界ではない別の場所へ飛ばされてしまったら愛望のようにそこで生きようと決心しますか?それとも帰りたいと元いた世界を恋しがるのでしょうか。

私は時代にもよるかもしれませんが、きっと今いた世界に帰りたいと思うはずです。

全てを捨ててもいいと思える人物に会えたのならばもちろん話は別ですが。

100年以上前を生きた新選組の功績は今も多く残っており、様々なもので題材として扱われることが多いですよね。

新選組=正義の味方

そう書かれることが多いのかもしれませんがこの作品ではあえて新選組のいいところだけではなく、悪いところ(内部抗争の末新選組を脱退していった御陵衛士の粛清や京の治安を守るためならば心を鬼にして刀を振るう)など包み隠さず書いてきたつもりです。

でもやっぱりこれだけは言いたい!

新選組は義のために戦った集団なのだと。

その義が何にあてられていたものなのかは時によって違いますが、決して新選組は己の私利私欲のために刀を振るっていたわけではないと声を大にして伝えたいです。

皆さんは新選組というとどのようなイメージを持っていましたか?

もしこの小説を読んで今までとは違う新選組のイメージを思い浮かべていただけたら幸いです。

ちなみになぜ愛望を盛岡出身にしたかというと私が以前盛岡を訪れたときに石割桜に感動したからです。

石割桜は実際には石を割って冬の寒さに耐えて花を咲かすわけではないけれど、本作品ではすべての生命の源というような立ち位置で描かせてもらいました。

気になる方はぜひ、石割桜の写真を調べてきてくださいね。

きっと「すごいなぁ」と思っていただけると思います。

あとがきがかなり長くなったのですが、次のページからいくつか番外編を書いていきたいと思います。

最初は新選組が二手に分かれた後、蝦夷に向かった土方歳三の一行について書いていきたいと思います。

ここからは番外編ごとに語り手が変わるので、混乱しないようにご注意ください。

それでは「最後に俺の感じたこと~土方目線~」をどうぞご覧ください。