壬生狼の恋ー時を超えたふたりー

翌日、ついに恐れていたことが起きてしまった。

近藤先生が新政府軍に捕まってしまったのだ。

しかし、幸いなことに近藤先生を捕まえた新政府軍の兵士は近藤先生だとは思っていなかった。

このころ、近藤先生は大久保大和という名を名乗っており、新撰組とは無関係の一旧幕府軍の一員のふりをしながら戦っていたのだ。

だから近藤先生が捕まったとしても私たち新選組は表立って助けに行くことができず、そのまま新政府軍の拠点となっている板橋宿まで連行されてしまった。

新選組の指揮官がいなくなってしまったことは新選組に対しても大きな影響を与えるのではないかと思われていたが、そのようなことはなかった。

近藤先生はいつか捕まるということを予想しており、自分に何かあった場合は指揮権をすべて土方先生以下副長助勤に任せるという伝言を該当の隊士にはしていたのだった。

そのため、大きな混乱もなく残った新選組隊士は土方先生の指揮のもと戦い続けることができた。