「土方、いつまでも泣いてんじゃねぇ。

俺がいない間新選組を頼むって言ったのに。
源さんの死は他の隊士から聞いた。

まったく、いつになっても来ないから通りそうな道で来てみたらこんなところで止まってるのか…」

呆れたように語る声の主は大阪城で治療を受けているはずの近藤先生のものだった。

事前に新選組は大阪城を目指すという連絡をしていたにもかかわらず到着しない新選組に何かあったのではと松本先生を振り切って出てきたということだった。

包帯を巻いていたものの、近藤先生はだんだら羽織もしっかりと着用しており、今からでも新選組を指揮できるといった感じだった。

「近藤先生、もう大丈夫なんですか?」

包帯を巻いた状態で、まだ万全な状態じゃないのに戦えるのかと私は近藤先生に声をかけた。

「大丈夫も何も、やっぱり俺じゃないと新選組は指揮できないから来たんだよ。

皆が戦ってるのに、じぶんだけ布団で寝てるのも性に合わないからさ。

お前ら、我々新選組は大阪城を目指して再度出発する!
これ以上の犠牲は何があっても出すな!」

近藤先生の登場により、一瞬ばらばらになりかけた新選組はまとまりを見せ、一行は大阪城へと向かった。

井上先生の亡骸は重かったため大阪城まで持っていくことができず、必ず後で迎えに来るからと言い残し、近くの寺へ預けられた。