壬生狼の恋ー時を超えたふたりー

「斎藤先生、本当にすみません。
斎藤先生は俺のわがままを聞いてくれたのに、それをあだにして返すようなことをして…

松本先生、すみません。
俺が女だってことを黙っていたがために貴方まで疑われてしまった…

俺は局長たちがどんな処分を下そうがそれを受け入れます。

そしてその代わりに斎藤先生たちが罪に問われないように命を懸けて懇願します。」

死刑執行を言い渡されるのを待つのはこんな気持ちなのだろうか。

そう思いながら私はただ今の思いを、迷惑をかけてしまった斎藤先生と松本先生に伝えた。

斎藤先生と松本先生はかなりいたたまれない顔をしていた。

そんな顔を見てしまうと、私もかなりいたたまれない気持ちになり、いっそのことあのまま死ねていればよかったのではないかと思ってしまった。

きっと斎藤先生は悲しむだろう。

でもいつかその悲しみを乗り越え、私のことを忘れることだってできただろうから…

運命の歯車はいつも残酷だった。

この世には神などいないのだと私は感じた。