壬生狼の恋ー時を超えたふたりー

土方先生はいったん後ろを向き私に着物をしっかり着るように促した。

そして私はいつもの姿、さらしをしっかりと巻き着物を着終わると土方先生に声をかけた。

「着替えました…」

私が声をかけると土方先生は私と向き合うようにして座り、私の腕をつかんだ。

「あぁ、何で俺は気がつかなかったのだろう。

こいつの腕に筋肉はついているけれど、明らかに男の腕ではない。

驚いていないということはお前らも杉崎が女だって知っているんだよな?」

土方先生は私の腕を離すと、そばにいる斎藤先生と松本先生の方を見た。

そして斎藤先生と松本先生は互いに見やった後、「はい」と小さな声で答えた。

「俺が、こいつを新選組に入隊させたんです。

女だということを知っていたにもかかわらず。
だから、罰するならば杉崎ではなく、俺を罰してください。

規律違反を起こした責任として、何でも従います。

だから、杉崎だけには何もしないでください…」

斎藤先生はすべての罪を自分がかぶるという発言をした。

でもそれは、斎藤先生が切腹を命じられるかもしれないということだった。

私が新選組に入りたいと無理に頼んだがために…

「土方先生、全ては俺、私が悪いんです。
だから罰するのは私にしてください。

そして斎藤先生も松本先生も私が女だということは知らなかったということにして、今まで通りの生活が送れるように…

そのためであれば、命じられたのであれば私は切腹をします。」

私のせいで最愛の人が罪に問われるだけは見たくない。

そう思った私は考える前に言葉が先に出ていた。