ちいさなことばをひろいあつめて【短編集】

　青年がその色白さに心配と、得も知れぬ美しさを感じていると少女がふいに呟いた。



　「ワタリガラスども…帰ったな」

　「ええ」



　彼女の視線は赤く滲み始めた東の空に向いており、その滲む赤の中に飛び去る番いの鳥を見ていた。

　普段なら夜まで帰らぬ鳥達だが彼女の情報はいの一番で報告されるようになっている。

　だから放たれてすぐなのに帰っているのだ。