ちいさなことばをひろいあつめて【短編集】

 彼女が力を蓄えている間も闇は広がり彼女の頭上にある夜空の殆どを喰らい尽していた。

 少女は手にしたフルーレ、否、『槍』を空に、闇に掲げ忌々しげに睨みつける。



 「喰らい尽せ!グングニール!!」



 魂の底から叫び、渾身の力を込めて広がる闇に投げ放つ。

 名を呼ばれた『槍』は呼応し、神速の光の塊となって夜を切り裂いた。


 夜を侵食した闇よりも更に強大な光が空を喰らい尽す。


 膨大な力の受けた闇は断末魔さえ上げる事を赦されず光に飲まれ存在をかき消された。