ちいさなことばをひろいあつめて【短編集】

 そして隣の青年に向くと幽かに唇が動く。

 そこから洩れる言葉はこの世の言語ではない。

 滅び去り、誰の記憶にもない『命令の言葉』



 「ガウト!!」



 言霊とともに少女の持つフルーレが青年の胸を貫く。

 その切っ先は背を貫通し、根元まで深々と突き刺さった。



 「…ぁくぅっ!!」



 青年の呻きとともに貫かれた傷口から光が迸る。

 その光が周囲を照らすと貫いたフルーレに光が収束した。