ちいさなことばをひろいあつめて【短編集】

 溢れ出た真紅の液体に闇が高笑いを始めた。



 「いい色だ。棘山に貫かれろ!」



 闇が吼え、棘の硬度と量とが増す。

 少女は血を滴らせ、振り撒きながら飛び掛かる棘を打ち落とす。

 しかし襲い来る棘は少女の人ならざる太刀筋を掻い潜り彼女に迫った。



 「お嬢様!」 



 少女と闇が対峙する後方で彼女の従者である青年が叫ぶ。

 それと当時に青年は腰のホルターから二丁の銃を抜き出した。