ちいさなことばをひろいあつめて【短編集】

 切り裂いた闇は断末魔を上げて霧散する。

 それが夜の中に消えるよりも早く二つ目と三つ目の闇が少女に飛び掛かった。


 少女はまるで踊るようなステップでやり過ごすと再び鉄骨を蹴る。

 高らかに跳び上がりビルの下の煌びやかな新宿の街に飛び降りた―――様に見えた。



 何も足場のない空中に少女が留まる。

 闇は驚かない。

 何故なら先程嘲笑ったように彼女が自分と同種の、



 ―――同族だから。