地表300メートル上の突風をものともせず少女と闇が睨みあう。

 互いに先手を取るべく機を図り睨み合いを続けた。その時間は刹那であり永遠。

 短くも長い、沈黙が彼らの間に横たわる。  


 
 その沈黙を先に破ったのは闇だった。

 音よりも早い、浸蝕する黒が少女に飛び掛かる。


 少女の左の眼はその音速の闇を正確に捉え足元の鉄骨を蹴った。

 その体は人ではありえない速度に達し、一つ目の影と交錯する。

 二つの影が切り結んだように見えたがそうなるよりも早く少女のフルーレが一つ目の闇を切り裂いていた。