向けられた嘲りと敵意に少女が反応したと見て闇が蠢く。

 一つだった影は嗤いながら木霊のように幾重にも重なり増えた。



 「壱、弐、参、肆、伍…独りで十分だわ」



 増えた影の数を確認すると少女はそう呟く。

 その言葉を聞いた青年は小さく了解の意を示すと彼女の後ろに下がった。



 「余裕だねぇ、同族殺し。お前独りで私を斃すというのかい?」


 
 嘲る声が大きくなる。そしてそれに比例して少女が感じる不快感も大きくなった。

 彼女は忌々しげに眼帯をしていない左目だけで闇を凝視する。


 目標は定まった。後は殲滅するのみ。