高校物語 ー秋ー

「うわぁ、綺麗」


金閣寺、実物を見るのは私も初めて。渡辺さんのつぶやきにも納得だ。教科書で見るそれは、金色の建物、というだけだった。でも、実物には何とも言えぬ迫力と存在感があり、形容しがたい建物だった。


「ね、ね、京、すごくない?」


香耶もはしゃいでいる。さっきの鳥居の時とはまた違った光景に皆、修学旅行を楽しんでいるんだな、と思う。男子勢を横目で確認すると、佐倉くんと如月が、何か話している。ま、なんでもいいんだけど。


「ここ、写真撮りたい!入る人ー?」


香耶が、呼びかける。調子のいい佐倉くんが乗ってきて、渡辺さんも入る。私も、香耶に腕をひかれる。


「如月くんは?」


案外メンタルが強いのか、渡辺さんは普通に話しかけている。


「んじゃ、記念に」


五人全員の写った写真は、各人のスマホに送られた。


「次、あっち行ってみる?」


「うん」


渡辺さんの指さした方向に皆で歩く。バスからは離れていくことになるけど、まだ時間はある。そのことを確認して、皆のあとを追う。


「京、私修学旅行来れてよかった」


「うん、香耶がいてよかった」


昨日の下校間際、のどが痛い、と言っていた彼女は、熱があったら行けないじゃん、と少し心配していた様子だから、確かに来れてよかった。