「出られないのか」


大志が舌打ちをして呟いた。


「これじゃ家にも帰れない。ずっと学校にいろってこと?」


花子が混乱した声を出す。


あたしはようやく耳から手を離した。


「あたしたち学校に監禁されたんだ……」


あたしの言葉に2人が視線を向けてきた。


あたしたちは学校内で逃げ惑うしか道がない。


聡介の知り合いだったというお兄さんは家の外で商品になったときのことを説明してくれたのだろう。


でもその時とはやはり違うのだ。


外に出られる商品もいれば、学校に監禁される商品もいる。


その時々において状況を変化させているのかもしれない。


「で、でも、出られなくても誰もいないんだから大丈夫だよね」


気晴らし程度に言ってみたけれど、いないのは生徒たちだけだとすでにわかっていた。