人権剥奪期間

☆☆☆

その場所から動かないまま時間は過ぎていき、あっという間に夜になっていた。


空には星空が輝き、狩の時間が始まったことをアナウンスが告げる。


「どうする? 逃げるか?」


聞かれて、あたしは左右に首を降った。


もっとずっと、この星空を見ていたいと思っていた。


満点の星空は今にも落ちてきそうなほど輝いている。


立ち上がって手を伸ばせば届きそうな距離。


だけどあたしたちはここにとどまっていて、ここから出ることはできない。


校舎内から足音が聞こえてきた。


あたしたちを探して階段を駆け上がってくる1人分の音。


聡介がハッと身構えて出入り口へ視線を向ける。


貯水槽の影に隠れていれば、少しの間ならやり過ごすことができると思う。


だからあたしは「聡介はここにいて」と声をかけて、ひとりで入り口へと向かった。


「恵美!?」


聡介が呼んでも振り返らなかった。


ハンマーを両手で握り締めて力をこめる。


足音はどんどん近づいてくるけれど、あたしの方が一足先にドアの前に到着していた。


ドアノブが回り、ギィと音を立ててドアが開く。


あたしは相手の顔を確認する前に、その頭へ向けてハンマーを振り下ろしていた。


ガツンッ! と、確かな手ごたえがあり、相手がその場に崩れ落ちる。


しかし、死んではいなかった。


頭から血を流しながら顔を上げる先生。


それは自分たちの担任の先生だった。