人権剥奪期間

☆☆☆

せかっくエリカと会うことができたのに、最悪の再開になってしまった。


トイレに戻ったあたしは手洗い場の水道をひねり、頭から水をかぶった。


少しでも臭いがマシになるようにだ。


あたしだってこんなに不潔にしていたいわけじゃない。


今でもみんなと同じように過ごしていたいだけだ。


でも、それができないから……!


悔しくて涙が滲んだ。


みんなは普通の生活を続けているのに、どうしてあたしはこんなことになってしまったんだろう。


あたしとみんなと、いったいなにが違ったんだろう。


「恵美?」


水の音が聞こえたからか、聡介がトイレから出てきた。


びしょぬれになったあたしに一瞬目を見開く。


「なにがあった?」


聡介は優しく声をかけてくれる。


その優しさのせいでまた涙がこぼれてしまう。


「エリカに会った」


「え?」


「ただ、偶然会っただけ。でも、全然会話できなかった。親友なのに……」


いや、もうエリカはあたしのことを親友だとは思っていないかもしれない。


「そっか……」


聡介は深く追求することなく、あたしの体を後ろから抱きしめてきた。


とても暖かなぬくもりを感じる。


でも、自分の臭いが気になって素直に甘えることもできない。


あたしは手の甲で涙をぬぐい、息を吸い込んだ。


「部室棟には休憩する場所がなかったの。授業時間になったら、本館に移動しよう」


あたしは悲しみを押し殺して、そう言ったのだった。