人権剥奪期間

「え? あぁ……そうかも」


「ぜ~ったいに恵美だよね?」


一歩前に踏み出して言う。


あたしは自然と後ずさりをした。


他の3人からは敵意は感じられないけれど、この子だけは違う。


まるであたしを値踏みしているように見えて、背筋が震えた。


「ねぇエリカって恵美と仲良かったよね? 友達が商品になるってどんな感じ?」


「どんな感じって言われても……」


エリカも返答に困っている。


あたしと目を合わせられずに下を向いてしまった。


「だって、恵美のこと殺しても犯罪にならないんだよ?」


『殺す』という単語に敏感に反応し、思わず飛びずさる。


それを見てその子は大きな声を上げて笑いだした。


「あ、ごめーん。そういえばもう何人も商品が死んだんだっけ? 恵美も逃げ惑ってるんだぁ?」


女子生徒は楽しげな声で言う。


そしてスマホを取り出した。


「あたしが今ここで、恵美の居場所をみんなに伝えたらどうなるのかな?」


「や、やめて……!」


ようやく声が出たけれど、それはなさけないくらいに震えていた。


「あはは! そんなことするわけないじゃん! ねぇ、みんな?」


完全に遊ばれている。


あたしは悔しさを押し込めて体を反転させ、階段を駆け下りたのだった。