人権剥奪期間

「俺だ。大志だ。開けてくれ」


それはとても静かな声だった。


花子が左右に首をふる。


また、ノック音が聞こえてきた。


今度は3回。


ハッとして息を飲むが、花子は動かない。


「番号は?」


その代わり、ドアの向こうの人物に静かな声で質問していた。


「なんのこと? 俺だよ、大志だ。早く開けてくれよ」


ドンドンとノック音が強くなる。


あたしは後ずさりをしてドアから離れた。