1度気になり始めたらどんどん気になってきて、あたしはストレッチを取りやめて舞に近づいた。


「何を見てるの?」


声をかけると舞はビクリと体を震わせ、スマホ画面を隠した。


「な、なんでもない」


その声はかすかに震えていて、あたしと視線を合わせようともしていない。


何かを隠していることは明白だった。


「なんでもないなら見せられるよね?」


そう言ったのはいつの間にかあたしの後ろに立っていた花子だった。


花子は冷たい視線を舞へ向けている。


「本当に、なんでもないから」


舞はそう言うと時計に視線を向けた。


つられて時間を確認すると、授業が終わるまであと5分になっている。


「おい、どうした?」


聡介が気がついて声をかけてくる。


大志もストレッチをやめて近づいてきた。


「別に、なんでもないってば!」


叫ぶように言う舞。


そのスマホを大志が半ば力づくで奪い取っていた。


「あっ!!」


舞は咄嗟に手を伸ばすけれど、届かない。


大志は舞が届かないようにスマホを高い位置に掲げたまま、画面の文字を読み上げた。


「1時間目が終わったら図書室で待ってる。おい、これなんだよ」


文面を読み上げた大志が舞を睨み付ける。