それからあたしは保健室に戻り、聡介の様子を確認した。


幸いにも保健室には誰も来ていないようで、聡介は無傷のままだった。


「よかった。無事だったんだね」


「恵美も。でも顔色が悪いけど大丈夫か?」


聞かれてあたしはうなづいた。


今見たものを説明する気にはなれなかった。


掛け時計を確認すると夜明けまであと2時間ほどだということがわかった。


想像以上に木工室で時間を使ったことになる。


でも、あと2時間ならどうにかなるかもしれない。


あたしは保健室の中を見回して、ロッカーに目をつけた。


背の高いロッカーの中には先生の白衣と制服の替えがかけられているだけで、十分に他人が入るスペースがあった。


「あたしはここに隠れているから、なにかあったら言ってね」


あたしは聡介に声をかけ、ロッカーの中に身を隠したのだった。