「確かに君は真面目かもしれない。でも、大人からすればその他大勢の生徒と同じようなものだ」


「そんな……」


「現に、普段の生活態度なんて無視して商品に選ばれただろう? そんなもんなんだよ」


「納得できません!」


こういう言い方は悪いかもしれないけれど、商品としてふさわしい生徒は他にいると思っている。


「君たちから見ても、大人は全員同じじゃないのか」


「え……」


聞かれて、返事に詰まってしまった。


自分にとって特別な大人は両親だ。


先生も特別だと感じることはあるけれど、他の大人と変わらないと言われればそうかもしれない。


少なくとも、両親と先生と大人。


という大雑把なカテゴリーでしか別けていなかったのは事実だ。


「それと同じだ」


あたしはまた下唇をかみ締めた。


先生たちにとってはあたしはただのいち生徒。


そんなの言われなくてもわかっていたはずだ。


「……わかりました」


あたしは短く言い、木工教室を出たのだった。