「田淵さんと和田さんが気にすることじゃないよ」


あたしはすぐに言った。


他のクラスメートの中には面白がって率先して大笑いしている連中だっている。


田淵さんは和田さんは、いつも隅っこのほうで怯えながら美紀たちを見ているのだ。


田淵さんと和田さんだって、平穏な学生生活を奪われた被害者側だ。


「でも、あたしたち何もできないし……」


和田さんがうつむき、申し訳なさそうに呟く。


この2人は大人しいから、あたしと夢がいなければイジメのターゲットになっていた可能性がある。


だから余計に気にかけてくれていたのだろう。


D組の中にこんな子がいたなんて思っていなくて、あたしは温かい気持ちになった。


少なくても、この2人はイジメられているあたしたちを見て笑ったりしないんだ。


「2人ともありがとう。でも、大丈夫だから」


あたしは2人へ向けてそう言った。


アプリをダウンロードする前なら、きっとこんな余裕のあること言えなかっただろう。


気にしているなら助けてよ。


どうして先生に伝えてくれないの。


自分たちは安全地帯で眺めているだけじゃない。


そんな風に罵ったかもしれない。