「全然違うね。どうして出てこないんだろう?」


何度か検索する言葉を変えてみても結果は同じ。


あたしが使っている《恐怖アプリ》は出てこなかった。


それでも夢に落胆した様子は見られなかった。


むしろ、ますます目を輝かせている。


「やっぱり、そうじゃないかと思ってたんだよね」


「どういうこと?」


「そのアプリをダウンロードしたのは見知らぬおばあさんだったでしょう? だから靖子は選ばれたんだよ」


夢の言葉にあたしは瞬きを繰り返した。


「あたしが選ばれた?」


「そうだよ! あのおばあさんに選ばれたの」


突然声をかけてきたおばあさんを思い出す。


80代くらいの、ごく普通のおばあさんに見えた。


「あの人はきっと天使だったんだよ。あたしたちを助けるために来たの」


「なに言ってるの」


あたしは夢の言葉に笑ってしまった。


でも、そう思いたい気持ちはよくわかる。


なにせあたしたちは毎日散々イジメられてきたのだ。