「相手へ与えられる恐怖に比べると、損失は大したことないってことだよね?」


夢の言葉にあたしは頷いた。


それは自分自身でも感じていたことなのだ。


靖は怪我までしたのに、あたしは無傷のまま。


宿題の件にしても、どうにでもなるようなことだった。


アプリからの通知がなければ、損失を与えられたとも気がつかないかもしれない。


「そのアプリ、あたしも欲しい!」


キラキラと目を輝かせる夢。


「本当に?」


「だって、こんないいアプリ他にはないでしょう?」


それはそうかもしれないけれど、下手な使い方はできないアプリだ。


「もっと慎重になった方がいいんじゃない?」


「大丈夫だって!」


夢はそう言うとアプリをダウンロードできるサイトを表示させた。


そして《恐怖アプリ》を検索する。


「これじゃないよね?」


出てきた画面を見せて聞いてくる。


画面上にはいくつかのホラーゲームが表示されていた。


もちろん、あたしが持っているアプリはこんなものじゃない。