「なんだよ、つまんねーこと言うなよ」


そう言ったのは美紀の彼氏である陸だ。


陸は制服の上からでもわかるほど筋肉質で、逆らったらどうなるかわからない威圧感をたたえている。


「別に、許すなんて言ってないじゃん?」


美紀がニヤついた笑みを浮かべてあたしと夢の前に立つ。


あたしは無意識のうちに夢の手を握り締めていた。


「2人とも、言われたことができなかったんだから、土下座してよ」


一瞬美紀の言葉の意味が理解できなかった。


背中に汗がながれていく。


さっき突き飛ばされてこかされたため、腰が痛かった。


「それいいね!」


そう言ってスマホをこちらへ向けたのは愛子だった。


愛子はニヤニヤとねばついた笑みを浮かべている。


あたしはゴクリと唾を飲み込んだ。


このまま4人の言うことを聞いていれば、いずれあたしたちは奴隷のようになってしまう。


わかっているけれど、今ここから脱出する方法を考えることができなかった。


たとえば大声で助けを呼ぶとか、素早くスマホで誰かに連絡するとか。