解答できなかったことよりも、そっちのほうが恐ろしかった。


最奥の席である靖は解答用紙を集めて教卓までやってきた。


咄嗟に視線を逸らす。


しかし、逸らす寸前で靖と視線がぶつかった。


靖の人を射るような鋭い目に背中がゾクリと寒くなる。


今日はただじゃ帰れないかもしれない。


そんな予感がしていた。


そして今。


放課後になるとあたしと夢は靖、美紀、愛子、陸の4人に呼ばれて2年D組の教室に残ることになってしまったのだ。


他の生徒たちはさっさと帰ってしまい、グラウンドから部活動の音が聞こえてくるくらいだ。


誰かが忘れ物でも取りに戻ってこない限り、この教室にはあたしたち6人しかいない。


「まぁまぁそんなに怒らなくていいじゃん」


そう言ったのは意外にも美紀だった。


この4人の中ではリーダー的存在である美紀の言葉に靖がたじろいだのがわかった。