恐怖ダウンロード

もうやめて!


あなたはただの妄想のはず!


実在なんてしてないんだから!


そう、女はアプリが作り出した偽物だ。


実在しているあたしにかなうはずがない。


そう思うのに心は恐怖に侵略され続けていた。


女の手があたしの体の中にズブズブと入ってくる。


次の瞬間、あたしの体は大きく動いていた。


さっきまで硬直していたのが嘘のように、軽快なステップを刻み始める。


「いやあああああ!」


そのおかげか、ようやく悲鳴を上げることができた。


体は勝手にダンスする。


他の客にぶつかっても、テーブルの上の水をたたき落してしまっても止まらない。


「靖子!!」


夢があたしの体を抱きしめて必死に止めようとしてくれる。


あたしは自分の意思に関係なく、夢の体を突き飛ばしていた。


夢は床に投げ出されて苦痛で顔をゆがめた。


「助けて! 誰か!」


悲鳴を上げながら踊り狂うあたしを見て逃げ出す客。


冷めた目で見つめてくる客。


好奇心いっぱいにスマホで撮影し始める客。