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美紀が引きずられた痕はアルファルトにしっかりと残っていた。


血の筋として。


事故が起きたことで周囲は騒がしくなり、救急車とパトカーが近付いてきた。


あたしと夢の2人はそれらが到着する前にその場を後にしていた。


警察に捕まると、事情説明で時間を取られてしまうからだ。


「死んだね」


歩きながら夢が呟く。


トラックが止まったとき、美紀の首は完全に逆方向を向いていた。


あれで生きていたら奇跡だ。


そんなこと、怒るわけがない。


あたしは胸が悪くなるのをどうにか押し込めて大きく深呼吸をした。


これで3人が死んだ。


残りは愛子1人だけだ。


「愛子の病院へ行ってみよう」


あたしが言うより先に夢が言ったのだった。