「さっき自分が言ったじゃない。自分たちにばかり変なことが起こってるって」


「まさか、本当に2人がなにかしてるっていうの?」


その言葉に夢がニヤリと口角を上げて笑った。


そして夢の耳に顔を近づける。


「あんたたちの生死を操作してるって言ったら、どうする?」


「生死を操作……?」


「そうだよ。それで、次は……」


夢は笑顔を浮かべたまま、愛子を指差した。


「え……」


愛子は目を極限まで見開いた。


両目からボロボロと涙がこぼれ落ちていく。


「あたしの番……?」


ポツリと、聞きとれないくらい小さな声で呟いた次の瞬間だった。


突然両手で胸を押さえてうめき声をあげたのだ。


座った状態で上半身を折り曲げてくるしげな声を上げる。


「愛子?」


「胸が……くるしっ……」


愛子の顔は苦痛にゆがんでいる。


演技には見えなかった。


愛子が手をナースコールに手を伸ばす。


しかし、それを掴む前に指先が当たって落ちてしまった。


ナースコールはぶらんとぶら下がってしまう。


「うっ……お願い……医者を呼んで」


愛子の声は消え入りそうだ。