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「夢は、もう絵を描かないの?」


不意に和田さんがそう言ってきた。


あたしはチラリと夢に視線を向ける。


「そうだね。まだ、ちょっとわからないかな」


夢はたどたどしく返事をして、苦笑いを浮かべる。


夢の話だと1年生のころまでは絵を描いていたはずだ。


それが、美紀と靖のせいでやめてしまったのかもしれない。


「やめるなんてもったいないよ。あたし、夢の絵が好きだったから」


「学校でやった展覧会に言ったの?」


夢の質問に和田さんは何度も頷いた。


「言ったよ。夢の作品が一番好きだった」


目を輝かせて言う和田さんは、嘘をついているようには見えなかった。


本当に、心から夢の絵が好きだったのだろう。


「あ、ありがとう」


あまり褒められ慣れていないのか、夢は和田さんから視線をずらし、口の中でモゴモゴと言った。


そんな夢を見てつい笑顔になってしまう。


あたしたちはもう美紀に負けることはない。


だから、今度こそ自分の好きなことを、胸を張ってやれるかもしれない。


「またやってみたらいいじゃん。今度はきっとうまくいくよ」


あたしの言葉に夢が頬を赤くして頷く。


その目には微かに涙が滲んでいるように見えた。