「なんだよいらねーよ」


チッと舌打ちをしてプリントに視線を向ける。


それから大きなアクビをひとつすると、ポケットに手を突っ込んでタバコとライターを取り出した。


夢が目を丸くしてそれを見つめる。


「ここ、保健室だよ?」


「あぁ。トイレに行く」


リクはぶっきらぼうに返事をしてベッドからおりようとする。


と、その時だった。


陸が手に持っていたライターが突然バンッ! と大きな音を立てて爆発していたのだ。


一瞬強い光が保健室の中に充満し、それからシーツから煙が上がり始めた。


それは本当に一瞬の出来事で、あたしは唖然としてしまって咄嗟には動けなかった。


「火事!」


夢が叫んだことでハッと我に返った。


突然爆発したライターを持っていた陸は手を押さえてうずくまっている。


ライターから出た火はシーツに燃え移り、小さな火になっていた。


「起きて! 火事だよ!」


あたしと夢は隣で眠っていた女子生徒2人を無理やり起こして保健室を出た。


陸も後ろからよろよろとついてくる。


その時保健室のスプリンクラーが作動し、非常ベルの大きな音が響き始めた。


学校内が騒然とするまで時間はかからなかった。


再び手に大けがを負うことになった陸は、病院へと連れていかれたのだった。