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保健室のドアを開けると中は暗くて保険の先生の姿はなかった。


3つあるベッドはすべてカーテンが閉められていて物音は聞こえてこない。


「陸、いるの?」


声をかけてみても返事はなかった。


あたしと夢は目を見かわせる。


もしかしてもう保健室にはいないのかもしれない。


そう思いながらもそっとカーテンを開けて寝ている生徒を確認していく。


手前2つのベッドに寝ていたのは女子生徒だった。


3つめのベッドを確認すると、神田と書かれたシューズが脇に置かれているのが見えた。


布団は盛り上がっていて、上下に動いている。


「陸、いるなら返事をしてよ」


声をかけながら近づくと、布団から陸が顔を出した。


本気で眠っていたようであたしと夢の顔を見てもぼーっとしている様子だ。


やがて「なんでお前らがここにいるんだよ」と、険しい表情になって上半身を起こした。


「先生に頼まれたものを持って来ただけ」


そう言ってプリントを差し出す。


本当なら教室の机の中に突っ込んでおけばいいだけだけど、こうしてここまで持ってきたのだ。


感謝してほしいくらいだ。