ファミレスのトイレで顔を洗い、大きく息を吐きだした。


鏡の中のあたしは顔色が悪い。


唇の色が悪くなっているのが気になって、リップを取り出した。


薄く唇にひいてみるとピンク色に色づいた。


これで少しはマシに見える。


そう思ってホッとしたときだった。


鏡の中で何かが横切った気がしてギクリとした。


しかし、振り向いてみると誰もいない。


なんだ気のせいか。


そう思って視線を鏡へ移した瞬間、見ず知らずの女と視線がぶつかった。


髪が長く、カッと目が見開かれ、こちらを睨みつけているのだ。


「キャアア!!」


悲鳴を上げてその場で尻もちをついてしまう。


お尻の痛みを感じる前に出口へと張って行った。


トイレから出る寸前、鏡へ視線を向けてみたがそこにはなにも映っていなかったのだった。