バースデーカード

その瞬間だった。


不意に新が千秋へ向けて駈け出したのだ。


その距離が一気に縮まる。


咄嗟のことに反応できない千秋は棒立ちになった。


そして……ザクッ……。


今まで聞いたことのない音が響いていた。


それはとても嫌な音で、なにか鋭利なものが柔らかなものに刺されるような音で……。


新が千秋から身を引いた時、月明かりに光る刃物が見えた。


その先端は千秋の胸から引きずりだされ、血に濡れている。


「え……」


それは誰の声だったか。


もしかしたら、あたしの声だったかもしれない。