バースデーカード

病気な俺が何を言っても両親は保守的な意見に回る。


だけど新が言えば、朝鮮してみてもいいかもしれないという雰囲気になった。


新はいつからこんなに家族を引っ張っていけるようになったんだろうと驚いた。


きっと俺が家に戻れない間も、ずっと両親を支えてくれていたのだろう。


こうして、俺は大池さんに連絡を入れた。


大池さんは都心から離れた病院までわざわざ足を運んでくれることになった。


俺は私服に着替えさせてもらって、新からもらったニットの帽子をかぶって大池さんを出迎えた。


大池さんはネットに出回っている写真で見るよりもずっとかっこよくて、痩せているように見えた。


プロフィールには40代だと書いてあったけれど、実物は30代でも通用しそうだ。


『はじめまして、大池です』


名刺を渡されて慌てて両手で丁寧に受け取った。


『森戸旬です』


ベッドの上からお辞儀をすると、大池さんは柔らかな笑顔を浮かべた。


人懐っこい笑顔にホッと胸をなでおろす。


緊張が少しだけほどけていくのを感じた。


大池さんは同伴しているお母さんとも挨拶を交わしてから、椅子に座った。


『先日少し電話でも話しましたが、今回は旬さんの日記を一冊の本として世に出したいと思っています』


『はい』


俺は背筋を伸ばして頷く。