バースデーカード

俺は朝から看護師さんや両親や担当医に散々おめでとうと言われて、今日が7月3日だという認識ができていた。


でも最近では日中でも寝たり起きたりを繰り返していて、日付感覚はとっくに崩壊していた。


『これプレゼント』


差し出された箱を受け取り、俺は荒い呼吸を繰り返す。


今日は朝からあまり調子が良くなかった。


せっかくの誕生日だっていうのについてない。


俺はベッドに寝転んだままプレゼントを受け取り、それを自分の腹の上に置いた。


するとすぐに新が手に取り『開けてやる』と言った。


『おぉ……』


新が一旦俺にプレゼントに触れさせたのは優しさなのだ。


久しぶりに紙とインクの匂いを嗅いだ。


『これ、似合うと思うけど』


そう言って差し出されたのは黒いニットの帽子だった。


いつだったか、若者に人気のブランドだとテレビで紹介されていた店のロゴマークがついて行く。


俺は目を輝かせて帽子を手に取った。


柔らかくてすべすべしていて、手触りがすごくいい。


『これ、高かっただろ?』


『値段の話なんてすんなよ』


新が笑い、俺もつられて笑った。