まぁ、お客さんも通るエントランス。
こんな格好されてたら困るよね。



姿勢を正して小林さんに目を向ける。
相変わらず、かっこいいぜ。
ビシッと着こなしてるスーツ。



『はぁ』



「人の顔みて溜息とは失礼な人だな。」



「この子いま傷心してるんで。」



「え、なんかあった?」



『あぁ、ここでの問題じゃないんで大丈夫。』



面白いとクスクス笑う友人とげんなりする私。
小林さんは頭の上にハテナを浮かべてる。



『失恋したんですよ。
周りは皆カレシ出来て楽しそうだし。』



「あぁ、なるほど。」



可哀想に、と言葉にはしなかったけど目が語ってる小林さん。



「あ、マッチングアプリは?」



そうだ、この友人もコロナ期間にマッチングアプリを初めてカレシが出来たんだった。



「やるのはいいけど、問題は起こさないように。
俺は、時間ないから行くよ。」



『はーい。またね、小林さん。』



「お疲れ様です。」



事務カウンターの奥に行ってしまった小林さんの背中を見送る。



「アンタそんなに小林さんと仲良かったっけ?」



『ん?あぁオーキャンのバイトで結構話した。
あと、学校案内のパンフの取材とか受けてそれで。』



小林さんが話しやす言ってのもあるけど。



「なるほど。」



『小林さんみたいなカレシが欲しい。
イケメンだし、話聞いてくれるし、色々面白いこと言ってくれるし。』



「うるさい、でアプリやらないの?」