「ちょ、ちょっと待った」
「大丈夫?」
「……全然大丈夫じゃない。俺のこと試してんの?」
いつも比較的ニコニコしている春日井くんが私を睨みつけてくる。
そのことに驚いていると、あっという間に視界が動き、ベッドに体が沈む。
「俺さ、女の子にお願いされたら今まで望まれた通りにしてきた」
「……うん」
「でももう、そういうことしない。いい加減なこと、やめる」
私の上にのった春日井くんが、口づけをしてくる。
それは塞ぐようなキスで、逃げ場のない私は酸素を求めてもがいた。
もうしないと言いつつ、矛盾している。春日井くんの考えていることがさっぱりわからない。
唇が離れて、お互い洗い呼吸を漏らす。けれど体制は変わらない。
「御上さんのお願いしかきかない。好きだよ、すごく」
熱を孕んだ切実な言葉に、息を飲む。
「……御上さんは俺みたいな不誠実だったやつ嫌?」



