どこか心配そうにまほこちゃんが聞いてきた。
横を向くと、ベッドに横になっているまほこちゃんと視線が交わる。
「不誠実なこといっぱいしてきてんの、綺梨も知ってんでしょ」
「プレイボーイで有名だから知ってるよ」
彼女の言う不誠実というのは、付き合ったりせずに不特定多数の女の子と関係を持っていたことについてだろう。
「……綺梨はさ、初めての彼氏じゃん」
それなのにその相手が春日井一樹でいいのかと、まほこちゃんは心配らしい。
「一応……兄だし、男としては最低でも人としてはいいところもあるとは思うけど……でもさ、なんか……兄貴に手ぇ出されていいのかなって」
「春日井くんって結構照れ屋なんだよ」
「え、まじ。ウケる」
「そこが私は可愛いなって思うし、それにちょっと子犬っぽくて撫でまわしたくもなるの!」
私が春日井くんのいいところを話し出すと、何故かまほこちゃんが笑い始めて布団に潜ってしまう。
「どうしたの、まほこちゃん」
布団を剥いでみると、まほこちゃんが笑いながら「だってさぁ」と目尻に浮かんだ涙を指先で拭った。



