「あ、もしかしてご家族?」
「たぶん、兄貴が帰ってきた」
「例のサンドイッチを作ってくれるお兄さん!?」
ご挨拶しなくちゃ!と立ち上がる私をまほこちゃんが止める。
「いいって、別に」
お兄さんは貞操概念弱いらしく、あまり合わせたくないらしい。
だけど、このまま挨拶をしないわけにはいかない。私がそう言うと、まほこちゃんが少し考えるようにしてから、頷いた。
「じゃー、夕飯のときで。わざわざ会いに行っても面倒だし」
「う、うん……」
失礼にならないかと首を捻るものの、まほこちゃんが嫌がるので仕方ない。
「お手洗いに行ってもいい?」
「どーぞ。廊下でて、右側ね」
「はーい」
まほこちゃんの部屋を出て、右側に一歩踏み出したときだった。背後から気配がして、足を止める。
……きっとサンドイッチのお兄さんだ。