「うちの家、つまんないでしょ」
まほこちゃんの部屋に行き、グラスに注いだオレンジジュースをちびちびと飲んでいると問われた。私が退屈そうに見えたのかもしれない。
「そんなことないよ。隠すならどこかなって考えてるよ」
「人の部屋でエロ本探そうとすんな」
まほこちゃんなら初々シリーズ関連の本を絶対にどこかに隠してる。どこだ。ベタにクローゼットか、枕の下か……またまたブックカバーを付け替えて本棚に!?
「じゃなくて、なんもないし」
「確かに殺風景だよね」
「知らない女たちに、余計なことされないためにあえてしてるんだよ」
まほこちゃんの家は小学生の頃に両親が離婚して、お父さんと暮らしている。
時折お父さん目当ての女の人が来るから嫌だという話も何度か聞いていた。
「まだ来るの? 知らない女の人」
「まあ……最近は減ったかな。会社の女は諦めたっぽいし、ただ大学の同級生だったっていう女は時々くる」
「お父さんは再婚する気はあるの?」
「しないって言ってるけどね。相手の女たちはまずは子どもを味方につけようとしてくるんだよ」
まほこちゃんは綺麗な顔立ちをしているし、話を聞いている限りお父さんは相当モテる。ということはかなり整った顔立ちをしている人なのかもしれない。
そんな話をしていると、なにやら物音が聞こえた。