まほこちゃんの家は一軒家だけど、外観はどこか殺風景だった。
というのも周囲の家には花だとか自転車などがあるけれど、まほこちゃんの家には何もない。

そのことが気になってしまってぼんやりとしていると、早く入ってと腕を引かれて家の中に押し込められた。



「近所の人ら噂好きだから」

「私がいるの見られるとあまりよくない?」

「兄貴の彼女とか勘違いされて好き勝手噂流されるかもしれないし」

苦い顔をして言うまほこちゃんは、今までもそういうご近所の噂話に嫌な思いをしてきたのかもしれない。


外観と同じで家の中も殺風景だった。とりあえず荷物をまほこちゃんの部屋に置かせてもらい、手洗いを済ませると2リットルのペットボトルを渡される。


「……まほこちゃん、結構野生的だね」

「は?」

「おーけー、私このままでもいけるくちだよ!」

「いや、ラッパ飲みすんな。これ部屋に運んで」

「あ、すみません」

なんだ、飲めじゃなくて持っていけということだったのか。
そういえば、サンドイッチを作ってくれるお兄さんはどこだろう。


リビングなのに生活感もあまりない。ソファとテレビがぽつんとあるだけ。写真も時計も、固定電話もない。なんだか少しだけ寂しい印象だった。