「っ、!?」

驚いて抵抗しようとする春日井くんの手を掴み、指を絡ませる。

湧き上がってくる焦げついた感情は、過去の話を聞いたせいだろうか。

傷心の春日井くんの初めてを誰かが奪った。そのことがなんだか気に食わない。やっぱりタイムリープしたい。



「ちょ、みかみさ……っ」

「私、まだ足りてない」

「ま、待っ、」

私からわずかに離れた春日井くんを逃すまいと、再び顔を近づける。


「黙って、私にキスされて」

「っ……!」

自分から舌を侵入させるのは初めてだった。

抉じ開けて、逃げ惑う舌を捕まえて、何度も何度も絡めて、混ざり合った唾液はもうどちらのものかすらもわからない。



「……っ」

荒い吐息は、たぶん私と春日井くんふたりのもの。


今日のキスは甘くない。だけどいつもよりもドキドキして、やめたくなかった。



キスを繰り返しながら、どちらからともなく抱き合って、春日井くんの膝の上に跨る。

いつもよりも距離が近くて、お互いの心臓の音が聞こえてしまいそう。



春日井くんの首筋に触れると、体を震わせた彼がキスを止める。



「っ、御上さん……これ以上は、やばい」

消えそうなくらいか細い声だった。
私にもこの雰囲気のまま続けることは、まずいのは頭でわかっていた。


だけど、潤んだ目で見上げてくる春日井くんに、ごくりと息を飲む。